Mayuko Nitta

相双ライターインレジデンス|『めぐる言葉』2025

2025年度版『ふくしま相双 めぐる言葉』を、2026年2月1日に発行しました。

 

本冊子は、双葉町・相馬市に滞在し、地域文化を取材・執筆する「相双ライターインレジデンスプログラム」から生まれました。

 

このプログラムは、文章のスキルやノウハウを学ぶことを目的としていません。福島県・相双地域に暮らす人たちと向き合い、自分自身とも向き合いながら、そこから生まれる問いを深めていく時間です。

 

言葉を紡いだのは、関西地域の大学生12名。今年度は「聞き書き」と「エッセイ」という2つの表現に取り組みました。

聞き書きは、語り手の人生に耳を傾け、その人の言葉のままに記録していく手法です。情報を得るためではなく、目の前のひとりの人生に向き合うことから始まります。聞いた言葉はすべて文字に起こし、その過程を通して、育った風景や大切にしてきたこと、日々の暮らし――背景に流れる時間ごと受け取り、文章にしていきます。

今年度は、聞き書きに取り組むにあたり、事前学習として聞き書きの第一人者である渋沢寿一さん(NPO法人共存の森ネットワーク理事長)から、聞き書きの基本姿勢や「聴く」という行為に宿る意味を学びました。

体験ワークではインタビューの練習と、聞いた話からキャッチコピー(その人をあらわす言葉)を考えてもらいました。こちらは私にインタビューをしてくれた学生たちが考えてくれたもの。

 

その学びを踏まえ、双葉チームは2025年8月20日~24日、相馬チームは9月1日~5日に、それぞれ4泊5日の現地合宿を実施。2日目・3日目には語り手の方々と交流してお話を伺い、その言葉のすべてを丁寧に文字起こししました。

12月6日・7日には、執筆した原稿を持って、相馬市と双葉町を全員で再訪し交流。その後、原稿を仕上げていきました。

2026年、東日本大震災から15年を迎えます。福島県の沿岸部、通称「浜通り」は、震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、それぞれが再興への歩みを続けてきました。事故から11年を経て住民の帰還が始まった双葉町。発電所から40キロ圏外に位置しながら事故の影響で漁業の制限や風評被害に悩まされた相馬市。

状況は異なりますが、どちらの地域にも、受け継がれてきた文化やつながり、記憶を未来へつなごうと力を尽くす人々がいます。

 

今年度も相馬市で3名、双葉町で3名の方にお話を伺いました。同じ語り手に話を伺った学生2名が、それぞれの視点でまとめた二つの「聞き書き」。そして、この場所での出会いが学生自身にもたらした問いを「エッセイ」として綴りました。

 

本冊子では、そのうち聞き書きの一部とエッセイを紹介しています。語り手の人生に寄り添いながら、学生たちは何を感じ、何を問われたのか。自身の内側と向き合う中で生まれた言葉を収めています。

冊子は相馬市・双葉町の各施設に設置し、無料で配布しているほか、2026年3月7日には京都の「SUINA室町」内の大垣書店 京都本店にてお披露目を兼ね「めぐる言葉~福島から京都へ~相双暮らしのマルシェ」と題したイベントを行い、そちらでも配布をいたします。

 

お話を伺った方々の想いと言葉が、冊子とともに、多くの方へ届くことを願っています。

 

▼聞き書き全文とエッセイはこちらからもご覧いただけます

相双ライターインレジデンス2025 執筆記事

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